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輪行袋を安い物で代用

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自転車部に入部して最初に絶望するのが、諸々の装備に対する初期投資額の大きさ。 自転車を買ってただでさえお金がないのに、サイドバッグ、雨具、キャンプ用品など、買わなくてはならないものは多く大変です。 電車などの交通機関に自転車を持ち込むために必要な輪行袋も、集団購入しているのは1万円以上する高額商品。
ただ、ある程度の制約の範囲内であれば、高額な輪行袋を買わずに輪行することが可能です。


バイクカバー輪行

バイクカバー輪行に必要なものは、バイクカバー結束バンド洗濯バサミで、全て100円ショップで購入することができます。輪行袋を持たずに走っていたときに、急きょ輪行しないといけない状況に陥っても、100円ショップさえ見つければ315円で輪行できるという、非常にリーズナブルな輪行スタイルです。

まずバイクカバーですが、これを使って分解した自転車をつつみます。 自転車カバーも売られていますが、バイクカバーより大きさが小さいので非推奨。

普通に厚手の バイクカバー輪行は、タイヤポケットのない輪行袋による輪行と同じような手法なので、フレームにタイヤを固定する何かが必要になります。 この固定に使うのが結束バンドです。もちろん、必ずしも結束バンドが必要なわけではなく、しっかりと固定ができる物であればなんでもいいです。
なお、結束バンドは再利用できるようになっているタイプがオススメです。 普通の結束バンドでもいいですが、その場合は輪行解除のときに結束バンドを切るためのハサミが必要になるので注意。 (本気を出せばハサミ無しでも取り外せなくもないですが、作業が面倒。)

実際の作業です。 まずはバイクカバーを広げた上で自転車をひっくり返し、タイヤを外します。 外したタイヤは結束バンドを使ってフレームに2〜3箇所で固定します。自転車を持ち上げたり向きを変えたりしてもタイヤが動かないような固定場所を選びましょう。 結束バンドの長さが足りないときは2つ以上繋げると楽です。 タイヤが固定できたらハンドルも横向きに固定します。バイクカバーは普通の輪行袋と比べゆったりとしているので、ハンドルを固定しないと向きが安定しません。逆に、ハンドルを固定せずに自立可能な状態にしておくこともできます。

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写真では自転車の下にバイクカバーがありませんが、作業はバイクカバーの上で行った方が早く終わります。風が強いとバイクカバーは飛んで行ってしまうので注意。
タイヤとハンドルの固定が終わったら、バイクカバーがたるまないようにしながら自転車を包み、余った部分をぐるぐる巻いて洗濯バサミで止めます。

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最低限これだけでも輪行できますが、肩ひもになるものがあればフレームに取り付けておくと運ぶのが楽です。下の写真ではサイドバッグの肩ひもを2つ繋げてフレームに通しています。

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電車内に持ち込んだら、適当な物を使って手すりなどに固定します。

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(サイドバッグの肩ひも万能説。)


良い点
まず挙げられるのは色が灰色であることです。 本来、輪行では「専用の袋」を使わないといけないことになっています。 ごみ袋やブルーシートを使って輪行すると、「専用の袋じゃない臭」が尋常じゃないのですが、バイクカバー輪行は専用の輪行袋を使った輪行と見た目があまり変わりません。
次に、バイクカバー輪行で使うものは普通の輪行袋と比べると圧倒的に軽くてコンパクトなので、荷物の軽量化になります。 なんと言っても輪行にかかる費用が安いので、輪行後に輪行袋を捨てるという究極の軽量化も可能。
あとは、袋の大きさにかなりの余裕があるので、ハンドルが片方だけ飛び出すなんてことはありません。後輪を外さずに輪行することもできます。


悪い点
根本的な問題ですが、バイクカバーは専用の輪行袋ではないので、交通機関側から持ち込みを拒否される可能性があります。(今のところ拒否されたことは無いですが…)
また、バイクカバーは軽量輪行袋もビックリする勢いでペラペラなので、防御力がほとんどありません。輪行中は自分の自転車を守るため、また他の乗客やその荷物を守るために気を付ける必要があります。よって、荷物を預けることによって自転車が自分の管理下から外れてしまう飛行機やバスでの輪行には使えません。加えて、エンド金具がないのでフレームの変形とディレイラー破損に注意。
自転車に肩ひもを取り付けられなかった場合、自転車のフレームを手で持って移動することになるので、電車の乗り換えが多かったりすると運ぶ時に重くてかなり大変です。


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(左:普通の輪行袋と並べてもあまり違和感がない。 右:新幹線でもバイクカバー輪行。)



ダンボール輪行

飛行機に自転車を乗せたいけど、バイクカバー輪行はできない。そんな時にはダンボール輪行があります。
自転車が製造元から店舗に送られるときには、ダンボール箱に入った状態になっています。 このダンボール箱は自転車屋に頼めば貰えるので、お金をかけずに手に入れることができます。

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このダンボール箱に分解した自転車を入れて、ガムテープで閉じれば輪行の作業は終わりになります。ただ、最低限ペダルを外さないと箱に収まりません。場合によってはハンドルも少しずらす必要があります。
あとは自転車のフレームやディレイラーなど、保護すべき場所をしっかりと緩衝材で保護しましょう。

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上の写真ではダンボール箱に自転車を収めるためにペダルを外し、ハンドルはセンターからずらしてあります。空いた隙間にはシュラフやら工具やらを入れました。大きな隙間が残ると内部で自転車が動いて破損の原因になるので、丸めた新聞紙などを使って埋めましょう。
ガムテープで封をして、箱の側面に「自転車」「横倒し厳禁」などとマジックで書いたら完成です。

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(これは航空会社に預けた後なので、色々とシールが貼られています。)


良い点
飛行機に安全に自転車を乗せるには、飛行機輪行用の輪行袋(厚手のクッション素材、ハードケース、etc…)を使うのがベストであり、普通の輪行袋で自転車を預けるのはあまり良くないのですが、ダンボール輪行の防御力はかなり高めで安心できます。飛行機で自転車を海外に輸送することを目的としたような輪行専用のダンボール箱が売られていたりもします。それくらい強いです。


悪い点
まず、持ち運びにくさが尋常じゃないです。自転車用ダンボールには取っ手になる穴がついてはいるものの、両手を使わないといけないので他の手荷物を持つ余裕がなくなります。
次に、ペダルを取り外したり、ハンドルをある程度まで分解しないとダンボール箱に収まらないので、分解・組み立てに必要な工具を持ち運ぶ必要があります。
ダンボール箱をツーリング中に持ち運ぶことはできないので、基本的に片道専用です。 輪行解除後には不要になった大量のダンボールと緩衝材と戦うことになるので、ダンボールを切り分けたり束ねたりして捨てられる場所まで運ばなくてはなりません。



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